節水戦争にかけた男たち

テレビ東京系「ルビコンの決断」。今週のお題は「トイレの水を減らせ!6リットルの壁に挑む男たちの開発競争」。
タイトルだけ見て「TOTOINAXかな?」と思ったのだが。今回の主人公はTOTO松下電工(現パナソニック電工)である。
国内シェア6割の“陶器のスペシャリスト”であるTOTOと、“住宅設備機器としてのトイレ”を作る後発の松下電工
畑の違う2社が繰り広げた、熱い戦いの模様を再現ドラマでおくる。
・一本筋で流せ!
押しも押されもせぬ、衛生陶器シェアNo.1のTOTO。節水の「6リットルの壁」を破るべく「水タンクを使わず、
水道から直接水を流す」タンクレストイレ「ネオレスト」を開発した。
さらに。今まで便器のフチの約30個の穴から水を流していたものを、1か所から流して便器内で渦巻状に回転させる
「トルネード洗浄」を開発。穴が多いとそれだけ水垢もつきやすいのだが、これならその心配も無い。
ほら、よくあるでしょ。古い便器のフチに、小さい穴と同じだけの水垢の線
付いてることが。アレ気になるんですよー。
そのトルネード洗浄便器の製造を手掛けた、陶器工場の職人さんの仮名が「太田原邦夫」だったのを見て、ご主人様大爆笑。
ガンダム」「ヤッターマン」などを手掛けたアニメ界のカリスマ・メカデザイナーである大河原邦男さんがモデルなのだろうか。
・史上最高が毎年出る
しかし。ネオレストには大きな悩みがあった―住宅の2階のトイレや、マンションの高層階など水道の水圧の低いところでは
タンクレストイレは本来の性能を発揮できないのだ。
コレを機に、TOTOは水圧の低いところにも設置できる「ネオレストAH1」を開発。一戸建ての2階のトイレにも
タンクレストイレを設置できるようになった。
(注:それでも。今年発売された最新機種「ネオレストハイブリッド」をもってしても、マンションや三階建て住宅の
「地上3階以上の場所」では流す水の量を増やさなければならず、まだまだ完全に節水性能を発揮できていないという声が
多いらしい)。
・パナ電工じゃなかった頃
一方。松下電工は「電気制御で汚物を流す節水トイレ」の開発に成功。節水競争に名乗りを挙げた。
しかし。そんな矢先に同社が陶器トイレの製造を委託していた会社が、売却されることになったというのだ。
便器と言えば「高級感」「清潔感」のある陶器製、というのが常識だったが・・・松下電工は「樹脂で便器を作る」
という決断に踏み切った。
そして樹脂自体の「汚れがつきにくい」性能の他に「流すたび、自動的にトイレを掃除する」機能までつけたトイレが
生まれた―その名も「アラウーノ」。
・トイレがトイレを洗うーの
「全自動おそうじトイレ」と聞いて「だったら『ブルーレット』使えばいいじゃないですか!」とも思ったのだが。
そうではなかったのです。
アラウーノには洗剤が仕込んであり、流す時に泡で汚れを落とす―その大量の泡の分、流す水が少なくて済むので
「自動清掃」と同時に「節水」も手に入れたのです!
アラウーノ」は産業界で各賞を受賞、その年の「日経ヒット商品番付」の前頭に入った(2007年12月2日の日記参照)
あのアラウーノの誕生の背景に、そんなドラマがあったとは、ねえ。
これからはトイレを見る目が変わりそうだ。