ダークサイド竹ちゃん

今週の連続テレビ小説「つばさ」。録画して後で見ました。
「幸せでした」という書き置きを残し、竹雄お父さん(中村梅雀)が家を出た。
マリバロン加乃子さん(高畑淳子)は「自分のせいで竹ちゃんは出て行ってしまった」と後悔しきり。
・今週の取材
先週の乱闘騒ぎ以来、ラジオぽてとの面々は動揺を隠せずに居た。
丸山さん(松本明子)も浪岡さん(ROLLY)も二郎さん(脇知弘)も、つばさちゃん(多部未華子)に
どう接していいのかわからない。
そして。何より、当のつばさちゃん本人も、お父さんが心配で仕事どころではない。
そこで真瀬社長は「取材に行って来い」と言い渡した―「わからないことがあったら、徹底的に取材するしかない」
つまりは、親父さんを本当に理解するための手掛かりを探せ、ということだ。
・側面に「シュッ」のホーロー看板
つばさちゃんは居酒屋「こえど」の麻子ママ(井上和香)に、「竹雄お父さんの過去を知りたい」と相談した。
その帰り道、川沿いの土手道にある野菜即売の小屋のところに座り込む加乃子さんに遭遇。
ここは11年前、加乃子さんが10歳のつばさちゃん(白坂奈々)と5歳の知秋くん(小林海人)を置いて
立ち去った場所。そしてそのまた15年前に遡(さかのぼ)れば、若かりし日の竹雄さんと加乃子さんが出会った場所。
ここは玉木家のみんなの“人生の分岐点”となる場所だった。
・魂を分けた存在だった
谷村さん(及川いぞう)を捨てて逃げてきた竹雄さんは、川越に流れ着いて土手道で休んでいた。
そこに居合わせた加乃子さんによると「世の中すべてを恨んでいるような、悲しい目をしていた」という。
で。持っていた「あまたま」を半分に割って食べさせると・・・その美味しさに、竹雄さんは相好を崩して
最高の笑顔を見せたという。
そして竹雄さんはそのまま「店までついて来ちゃったのよ」。・・・捨て犬のようだな。
・梅雀さんの悪役顔
その谷村さんにも、つばさちゃんは話を聞いた。
悪い商売に手を染めた事。鉄砲玉として敵対する勢力に特攻させられた事。そして竹雄@ダボンさんと一緒に逃げた事。
「お父さんは“人生の分岐点”に居るかも」と考えたつばさちゃんは、谷村さんと出会った場所を聞き出した。
東京・上野の木賃宿。およそハタチ過ぎの若い娘が来る場所ではないのだが・・・つばさちゃんは片っ端から探す。
諦めかけたその時、ある部屋からベッカム一郎(声:川島明)のラジオ番組の音声が聞こえてきた。
その部屋を覗くと・・・お父さんが居たー!!
しかし。お父さんは娘を追い返した。「これ以上、オレに関わるな」。
「今の俺は、みんなの知ってる俺じゃない」。それは26年前、加乃子さんと出会った頃の悲しい目と同じだった。
ちりとてちん」の“ダークサイド小草若”みたいな状態になっている。
・ANOTHER HOMELAND
竹雄さんは、川越で加乃子さんと出会うまでの生い立ちを語り始めた―
長野県に生まれた竹雄さんは、幼い頃に親を亡くして以来親戚の家を転々としてきた。居場所のない人生を送って来た彼に、
東京で出会ったヤクザの親分が優しくしてくれた。
「この人について行こう」と信じたのだが・・・後に鉄砲玉として使われる。「捨て駒が欲しかっただけだったんだ」。
逃亡の末に、彼は川越の街に流れ着いた。初めて来たのに「この風景は自分の故郷に似ている」と思った。
そして加乃子さんと出会い、和菓子職人の道を選んだのだった。
初めて「あまたま」を食べた時に「笑ったのは赤ん坊の頃以来だった」。
・ラジオなのに喋れない
やがて結婚して家族ができ、子供が生まれた。しかし、その幸せが壊れてしまうのが怖かった。
「人のいい父親を演じてたんだよ」。
つばさちゃんは川越に戻り、お父さんの消息を家族に告げた。しかし加乃子さんが連れ戻そうとするのを止めるのだった。
ラジオのおっさん(イッセー尾形)も、つばさちゃんにかける言葉が無い。そりゃそうだ、彼女自身が呆然としているのだから。
・その手があった
「甘玉堂」では、たったひとりの職人である竹雄さんが居なくなった今、和菓子を売ることができない。
川越まつりを控えているというのに、菓子の注文がとれないのは痛い。加乃子さんは、おこわや赤飯を炊いて店をつないでいた。
そんな中。その甘玉堂に、マダム城之内(冨士真奈美)がやって来た。
「売り物が無いんだったら、いっそこの店をお売りになったら?」とマダムは千代ばあちゃん(吉行和子)に言う。
ある日。かつて甘玉堂で働いていた職人さんが店を訪れた。竹雄さんから連絡をもらい、代わりに菓子を作るよう言われたのだ。
しかし!加乃子さんはその申し出を断る―「竹ちゃんの帰りを待つ」と。
・誰にでもある、心の闇
千代ばあちゃんも「加乃子に自分と同じ人生を歩むことを強制していた」と、自分の“心の闇”を語る。
自分たちの声を届けるには、どうしたらいいか。つばさちゃんはラジオの力を借りることにした。
ベッカム一郎さんのラジオ番組に“普通の投稿”を装ったハガキを出し「人生の分岐点に来てほしい」と呼びかけたのだ。
そして。千代ばあちゃん、知秋くん(冨浦智嗣)、加乃子さんには、竹雄さん宛の手紙を書くように頼む。
・かけがえのない誰かと、つながりたい
家を出てから、十日ばかり。ラジオを聴いた竹雄さんは、川越の土手に戻って来た。
待ち受けるつばさちゃんは、お父さんの顔を見ずに野菜直売小屋の壁越しに話しかける
(なんか人生相談番組のようだ)。
「玉木つばさの『あなたに会いたい』!」
つばさちゃんはラジオパーソナリティーになりきって、竹雄さん宛の手紙を読み始めた。
知秋くんからの手紙。千代ばあちゃんからの手紙。つばさちゃんの手紙。そして最後に、加乃子さんからの手紙。でも
「この手紙の内容を、わたしはここで読むことはできません」と、つばさちゃん。「この手紙の内容は・・・家に帰って、
直接本人から聞いてください」。
「お父さんを連れ戻したい」という、つばさちゃんと家族の思いが通じて・・・竹雄さんは、みんなの待つ家へ戻ることを
決意した。
・私は忘れない、あなたが私にしてくれたこと
こうして、竹雄お父さんが甘玉堂に戻って来た。
お互い、言いたいことは山盛りあるのだが・・・言葉は出ず、涙だけがあふれてくる。
「生まれ変わったつもりで、もう一度笑おう」と加乃子さん。
竹雄さんは作業着に着替えると、再び「あまたま」を作った。そして初めて出会った日のように、半分に割って食べる。
そして家族がみんな集まり、「あまたま」をほおばるのであった。
ラストシーンのBGMに「あなたが好き」のサンバアレンジが流れていた。やっぱりいいねー、この歌。
次週、チャリティーでもないのにフルマラソン??