プロフェッショナル―舞妓の流儀

今週のNHK連続テレビ小説「だんだん」。月曜日(12月1日)のエンディングは、マナカナ@めぐみ&のぞみの
赤いスイートピー」でした。
・本当に少ないけど(by貧乏神)
で。今週のテーマは「プロとアマチュアの違い」。
2001年(平成13年)11月、ライブハウス「ワイルドダック」。
夢花@のぞみちゃん(三倉佳奈)が舞妓の素性を隠し、めぐみちゃん(三倉茉奈)と一緒に歌う夢のステージが実現。
双子とシジミジルのライブは大盛況に終わり、マスター(Mr.オクレ)から初めてのギャラが支払われた。
・追いかけて、追いかけて
石橋さん(山口翔悟)曰く「めぐみちゃんとのぞみちゃんは、全然違う」。
どういうことかというと。めぐみちゃんは「歌っている自分を見ている」そしてのぞみちゃんは「めぐみちゃんや、
観客の反応など、周囲を見て歌っている」。つまり、めぐみちゃんはまだアマチュアの域を出ていないというのだ。
舞妓として「お客の心を掴む」ことに慣れているのぞみちゃんは、プロとしての意識が高いというわけだ。
めぐみちゃんとしては、「自分が楽しんで歌うこと」が基本。そうすれば聴衆に心が通じる、と信じている。
「心が・・・通じん人も居るけど」めぐみちゃんは石橋さんに向かって呟く(が、言われた本人は自分のことだとは
自覚していない)。
アンコールで歌われたザ・ピーナッツの「恋のフーガ」に、石橋さんへの思いがこもっている気が(笑)。
・外堀を固める
後日。新聞に「河原町のライブハウスに“謎の双子デュオ”現る!」という記事が。めぐみ&のぞみのことだった。
どうやら石橋さんがマスコミに手回しをしたらしい。
記事には歌唱力の高さと観客の盛り上がりが紹介され、やはり“平成のザ・ピーナッツ”と評されていた。
久乃さん(藤村志保)と真喜子@花雪さん(石田ひかり)は眉をひそめるが、これも「夢花の襟替えが終わるまでのこと」と
目をつぶって「お休みの日だけは歌っていい」という許可を出すのであった。
・そりゃないよ(以下略)
一方。松江では、忠さん(吉田栄作)のトレーニングが続いていた。
動体視力を鍛えるため、パチンコ玉のような粒状の物体を飛ばしてよける訓練をしている―実はその物体、シジミの殻。
低脂肪でミネラル豊富だから、減量中の食事にも役立つけれど・・・まさか殻まで役に立つとは。
栄養学の本を見ながら、本格的にサポートする嘉子お母さん(鈴木砂羽)とは対照的に、初枝おばあちゃん(三林京子)は
心配で仕方ない。
ボクシングは人命に危険を及ぼすこともあるスポーツ。「リングのロープに当たって死んだ人も居(お)ったとか
・・・力石さんとかいう」それはフィクション(漫画)だー!
そば爺(石倉三郎)や松江の人々も“忠応援派”と“試合反対派”の真っ二つに分かれる。
・説得工作開始
レーニングに熱中する忠さんのもとに、真喜子さんから電話が入った―
「夢花が、芸妓になるのを迷っているようなんです」。
そんな夢花@のぞみちゃんのため、忠さんがリングに立とうとしている。しかしそれを知った真喜子さんは
「もうボクシングは止めて欲しい」と反対した。19年前の頃も、止めて欲しいと思っていたという。
同じく反対派の初枝おばあちゃんは、真喜子さんに「忠を説得して欲しい」と願い出た。真喜子さんは翌朝一番の飛行機で
文字通り松江に“すっ飛んで”来た。
・嫉妬心、或いは
真喜子さんが来て説得にあたろうとしたものの、忠さんはさっさとトレーニングに行ってしまった。
19年前、真喜子さんは忠さんがボクシングで殴られる姿をとても見て居られなかった・・・と語る。
それは嘉子さんとて同じこと。しかし今は、めぐみちゃんや健太郎くん(木咲直人)のためにも戦わなければならない。
嘉子さんは「好きにさせてやって下さい」と頭を下げた。
結局忠さんを止めることができなかった初枝おばあちゃんと、嘉子さんの間に溝ができるのであった。
・ボランティアの限界
再び、京都。老人ホーム「琥珀苑」の毒舌老女・須賀さん(正司花江)が熱を出した。めぐみちゃんは急いで
氷嚢(ひょうのう)を用意し、看病しようとする。
が、高林施設長(辻沢響江)に咎められてしまう。入所者が病気になった場合、その世話をできるのは看護師だけ。
それ以外の介護士や、ましてや学生ボランティアのめぐみちゃんが手を出してはいけないのだ。
施設長の「プロに任せて」という言葉に、またしても“プロとアマの違い”を実感するのであった。
三者三様、孤独な戦い
花雪さんは松江から戻り、夢花さんに「お父ちゃんはあんたのために、戦おうとしてはる」ことを告げる。
「黒髪」の舞のことを相談した日以来、お父ちゃんの戦いも始まったのだ。
そして花雪さんは、生後半年ののぞみちゃんを連れて祇園に戻った時のことも話した。
「花むら」に復帰する条件として「15年後にのぞみちゃんが舞妓になること」が約束されたのだ。
その時から、花雪さんはのぞみちゃんの母親ではなく“姉さん”になったのである。
初期の頃「のぞみちゃんが6歳までおむつ穿いとった」というセリフがあったが。母親が「母であって母でない人」に
なってしまったという精神的原因があったのか・・・。
・死に様という言葉は無い
年末。めぐみちゃんは松江の実家に帰省。漁具小屋で忠さんがストーブを焚いて“サウナ状態”で汗を流していた。
めぐみちゃんはその隣で一緒に毛布を被り、トレーニングにつきあう。
忠さんは、ボクシングのリングを目指す理由を語った―「19歳の頃のワシを、めぐみや健太郎や、のぞみに見せたい。
あの頃のワシが何を考え、何を目指していたかを見せてやりたい」。
奇しくも、同じ19歳。体を張って、娘や息子に“生き様”を見せてやりたい・・・というわけだ。
間違っても“死に様”になるなよ(汗)。
・お年玉プレゼント
年が明けて、2002年。夢花さんは複雑な心境のままで正月を迎えた。
「花むら」の芸妓さん・舞妓さんは年末のご挨拶回りでもらった「福玉」を、めぐみちゃんが松江から戻った日に開けた。
後藤先生(伊武雅刀)が、めぐみちゃんの分も用意してくれたのである。
名古屋弁もすっかり抜けた花香ちゃん(伊藤麻衣)には、龍の置物。ドラゴンズか(笑)。
そしてめぐみちゃんの福玉には三味線の、夢花さんの福玉にはギターの置物が・・・って、逆ですやんか?
間違えたのか、それともわざとなのか。でも二人はそのまま貰っていくのであった。
・仏壇に手を合せ
その襟替えを目前に控えた頃。忠さんの体重が、ついに66kgまで減った。難波ボクシングジムの難波会長(赤井英和)は
合格点を出し、プロの試合の後のエキシビションマッチで試合をさせてもらえることになった。
試合を見に行きたいと申し出た嘉子さんだが、忠さんから「母さんと一緒に居て欲しい」と言われ、松江でお留守番。
ここまで支えてきたのに蚊帳の外かい(笑)。
・やがてリングと拍手の渦が
そして。いよいよ試合当日。かつて忠さんのライバルだった斎藤選手(薬師寺保栄)とも再会。
世界スーパーフライ級チャンピオン・徳川選手(徳山昌守)、対戦相手のセコンド・井川トレーナー(井岡弘樹)と
(中の人が)豪華な面子の見守る中、3分×3ラウンドのゴングが鳴った。
・見るがいい
対戦相手は日本ウェルター級3位の中島選手(山口圭司)。忠さんは往年の力をなかなか出せずに居る。
ボディーブローが、じわじわと効いてくる・・・スタミナを消耗し、劣勢に立たされる。
「必殺の“ジョレンアッパー”は最後まで置いとけ」と、セコンドの難波会長はアドバイスする。
付き添いの健太郎くんに続き、めぐみちゃんとのぞみちゃんも会場に到着。そして真喜子さんも見届けに来た。
・漢字で書くと「鋤簾」
ちなみに「だんだん」オフィシャルサイトによると「ジョレン」とは、シジミを獲るための漁具(重量30kg以上ある
鉄の籠)だそうです。それを引き上げる左腕の動作(と、鍛え上げられた筋肉)を応用し、吉田栄作さんが
考え出した必殺パンチが「ジョレンアッパー」だったというわけで。
愛知県地方にも「まんが漁」という鉄籠の漁(おもにアサリ漁)がありますけど。腕も腰も強くないとできません。
・帰れるんだ
忠さんはフラフラになりながらも、何度も立ち上がる。途中で帰ろうとする真喜子さんを、のぞみちゃんは引きとめた。
そして最終ラウンド、ジョレンアッパーが炸裂!その威力は、現役の頃と変わらなかった。
試合終了―ノックアウト寸前までボコボコにされながらも、忠さんは最後までリングに立ち続けた。
「これが、19のときのワシの姿だ」・・・最後まで見届けたのぞみちゃんは、ついに決心する・・・って何を!
・人生のリセットボタン
のぞみちゃんは「花むら」の皆さんの前で宣言する。「うち、芸妓になるのやめます」。
うわー。やりやがった。祇園に育ててもらった恩をヘッドバットで返す!
「花むら」の信用が失墜するぞ!
父親の戦う姿を見て、のぞみちゃんが思ったことは「19年前の赤ちゃんの頃に戻って、人生をやり直したい」。
忠さんとしては、のぞみちゃんを励ますつもりだったのだろうが・・・かつて諦めた夢に挑んでいる姿を見て、
自分の本当の気持ち、本当の夢、本当の人生を追い求めたいという思いが強くなった。
・どうする気だ
久乃さんに「祇園から出ておいき」と言い渡されたのぞみちゃん。「一条のぞみ」に戻った以上は、花雪さんを
「お母ちゃん」と呼んでみるが・・・その花雪さんは「あんたとはもう、親でも子でもない」と突き放した。
のぞみちゃんはそのまま荷物をまとめて洋服に着替え、置屋を出て行ってしまった。
というか・・・行く宛はあるのか?とりあえず高校に通ってみたら?と思ったのだが。
次週、人生リセットの旅へ。祇園の外の世界の厳しさにぶち当たる。