2歳からのハローワーク

カンブリア宮殿」(テレビ東京系)今週のゲストはキッズシティージャパン社・住谷栄之資社長。
キッズシティージャパンは、大人気のテーマパーク「キッザニア」を日本で展開している。住谷社長は元々「Hard Rock Cafe」や
「TONY ROMA」などのレストランチェーンを日本で成功させた立役者だ。
お孫さんと一緒に旅行したメキシコで「キッザニア」と出会い、日本への輸入に尽力したという。
社長は施設内で「エディ」という名札を付けて歩いている(いつも居るんですか?)。
・大人の事情
キッザニアでは職業体験で仕事をすると、報酬として施設内の通貨「キッゾ」を支払われる。
キッゾを発行するスポンサーは三井住友銀行なのだが「カンブリア宮殿」の番組スポンサーは“商売敵”みずほ銀行なので
番組では三井住友銀行のロゴにモザイクがかけられていた。かえって目立つぞ(笑)。
ちなみに。施設内では「クロネコヤマトの宅急便」の車も「配達」のアクティビティ(職業体験)をしているが、
番組スポンサーが「ペリカン便」の日本通運なので、これも全く映らず。
・買い物より仕事したい
キッザニアは母国・メキシコ、インドネシア、日本の3カ国で事業展開中。
メキシコの子供と日本の子供では、キッゾの扱いも違うという―メキシコの子供は、キッゾが支給されるとすぐ使うが、
日本の子供は「まず貯金する」。堅実やね。
なおかつ売店やパビリオンで「ここはお金を払うんですよ、と言うと逃げます」(住谷社長)。
しっかりしてる(笑)。
三重県が誇る名優
キッザニアに来場すると、子供たちは50種類のパビリオンから「やってみたい職業」を探す。1日では回りきれないので、
必然的にリピーターも多い。
そんな来場者の一人である小学生の女の子、今回はラジオDJに挑戦。
初めは緊張気味だったものの、慣れてくると堂々とした喋り。ナレーターの俳優・高川裕也さんも
「あ。おじさんより上手いかも」と評価。
いやいや、高川のおじさんもイケメン俳優じゃないですか。今日の「あんどーなつ」(TBS系)では出番なかったけど。
・刷り込みだけじゃない
そんなキッザニアには、大人も夢中になっている。各パビリオンに出資するスポンサー企業の皆さんだ。
「子供の皆さんに、企業名を覚えてもらいたい」という狙いもある。
そりゃー「ライオン」や「ヤクルト本社」みたいに、子供の皆さんの毎日の生活に根差してる企業はいいでしょうけど。
IHI」みたいに、何をやっているのか一言で説明しきれない会社は、こういう所に出てこないとね。
また、設備にリアリティを持たせるには、本物の企業ロゴや本物の制服は必須。「子供だましは子供に通用しない」のだ。
・東京に無いパビリオン
番組では来年オープン予定の「キッザニア甲子園」も紹介。兵庫県西宮市・甲子園球場の向かいにある「ららぽーと甲子園」の
一角で、ただいま建設中だ。かつて賑わった遊園地+動物園「阪神パーク」の跡地が、まさかキッザニアになるとは。ねえ。
地元の花形企業にして、今回「電車の運転士&車掌体験」のパビリオンを出す阪神電気鉄道は、ここで職業体験をした子供が
「いずれ従業員になってくれるかも知れない」と狙っている。
阪神電車の運転士や車掌になりたい、という子は多いと思いますよ。
・平成の竹尾ワッ太
一方。番組では、“ごっこ遊び”や“おままごと”ではなく、本当にプロとして仕事をしている未成年の皆さんを紹介。
沖縄・久米島久米島物産販売」社の小学生社長・吉田拓郎くんは会社社長として経営を切り盛りする。
久米島物産販売では、久米島など南国に自生する果実・ノニのジュースや加工品を売っている。ノニは最近「健康にいい」と
話題になっている、ビタミン豊富なフルーツだ(ただし。味がちょっとアレらしい)。
吉田くんは自らアイデアを出して商品を開発、島の土産物店へ営業に行ったりもする。
「小学生社長」っていうから、“竹尾ゼネラルカンパニー”(往年のロボットアニメ「無敵ロボ・トライダーG7」=1980年、
名古屋テレビテレビ朝日系=に登場した会社)かと思いましたが(違)。年商1000万円だそうで。
当面の懸案事項は、会社の経営よりも学校の宿題なんだとか。大変ですねー。
・東海地方の隠れた名店
そして。三重県の県立相可(おうか)高校では、食物調理科の生徒さん達がレストラン「まごの店」を運営。
地域名産品を使った安くて美味しい定食で、地元の人たちに人気を呼んでいる。ただし学校なので、授業が休みの日しか
営業しない(そりゃそうだ)。
市場での材料買付けから売上げの管理まで、生徒自らが運営するシステム。
また、この学校は「卒業と同時に調理師免許が与えられる」ということで、生徒さんたちも真剣にやっているのだ。
東海地方のローカルニュースやグルメ番組では度々紹介されている人気店だが、遠方からもお客さんが来る。
・早くも次週予告
その竹尾ゼネラルカンパニーについて、wikipediaの説明を引くと・・・主人公・ワッ太の職業を「社長」に定めたのは、
放送当時「小学生のなりたい職業No.1」が「社長」だったから、だという。
今はどんな職業がNo.1なんだろうね。「大工さん」というのが上位につけているそうで―
そして番組の途中で入った次週予告は「エリート大卒の大工集団・平成建設」。こういうのも、子供たちの憧れです。
・3日、3ヶ月、3年、3割
一方、キッザニアの住谷社長。「Hard Rock Cafe」で、若くて有能な従業員に「店長にならないか」と持ちかけると、
辞退されるということが多かったという。
彼らが辞退する理由は「責任のある仕事はしたくない」「自分には無理です」。
最近の若い人は、政治家の汚職や企業の不祥事などで各界のトップが平謝りする姿を見て育っているしなあ。
それに最近は、大学を出て「会社に入っても1年以内で辞めてしまう人」が3割に達するとも言われるご時世。
若いうちから職業体験を通して「仕事」だけでなく「人と触れ合う」術を学んで欲しい、とも住谷社長は言う。
・手出し無用
かつて「13歳のハローワーク」という本を出した村上龍さんも「キッザニア」に潜入!子供サイズの建物の間を歩く。
・・・その感想は「キッザニアは“教育施設”だと思っていたが、違うようだ」。
親たちは子供のアクティビティに手出しができず「教育体験」として見守っている。が、子供たちは「学ぶ」というより
純粋に楽しく、それでいて真剣にやっている。
住谷社長は「キッザニアの無い社会の方が、いい社会だ」と言う。何故なら。昔は丁稚奉公をしたり、家業の手伝いをしたりで
模範になる大人を見て、子供が育った。現代でその肩代わりをするのがキッザニアだという。なるほどね。
・まずは楽しめ
教育効果云々は置いといて、「楽しい」か「楽しくない」かといわれたら・・・楽しいでしょうね、キッザニアは。
キャラクター主導型のテーマパークが伸び悩むのに対して、こういった“体験型”のテーマパークは堅調に運営していくかも知れない
鈴鹿サーキットの遊園地でキッズバイクやカート、幼児用建設機械といった“大人にならなくても運転できる乗り物”を
見るとそう思う)。
大人でも職業体験できるテーマパーク、どっかで作ってくれませんかね(笑)。