宮崎駿ワールドへようこそ

今朝の日本経済新聞朝刊・文化面に、仏文学者の野崎歓さんが「前言撤回のすすめ」というコラムを寄稿している。
何を前言撤回したかというと。「アニメ映画は見ない」と言っていたのが一転、宮崎駿作品のファンになってしまったという。
・某映画評論家と同じ?
野崎先生は映画大好き人間だが「ホラー映画」と「アニメ映画」には、絶対手を出さないと決めていたそうで。
「生身の俳優あっての『映画』だ」「アニメというのは映画の『絵コンテ』を見せられているようなものだ」というのが
先生の持論だった。
コペルニクス的転回
それに「アニメや漫画なんて、子どもの見るものだ」と、日本人の感性の幼稚化を嘆いておられたそうなのだが・・・
その先生が何らかのきっかけで「風の谷のナウシカ」を見た途端、思想が反転して一気に宮崎駿高畑勲信者に
なってしまったのだそうだ。
よく外国人が「日本人は漫画ばかり読んでいる/アニメばかり見ている」とバカにしているが。彼らの国には、
手塚治虫宮崎駿も居ない。
・コナンといえば探偵より未来少年
先生はそのことを奥様に話したところ「実は子供の頃から宮崎ファンであった」ことをカミングアウト。
無理解な旦那のせいで、長年その愛を封印していたという。「それなら僕を教育してくれれば良かったのに」と先生は嘆く(笑)。
ワテだったら、結婚する相手がジャパニメーションに対して無理解な人だったら、
即座に婚約破棄するぞ(お前は黙ってろ)。
そういえば。ウチの実家の母親が今、テレビ大阪でやっている「アルプスの少女ハイジ」の再放送にどハマりしている。
名作は色褪せないのだ。
・世界のミヤザキ
先生は上海大学でのフランス映画理論についてのシンポジウムで、宮崎アニメを例にとってその幻想的リアリズムの
素晴らしさを説明したところ・・・世界中の大学教授から、われもわれもと宮崎駿ファンであることを
カミングアウトされたという。今や黒沢明小津安二郎と並ぶ、世界の巨匠なのだ。
そして最新作「崖の上のポニョ」が「大きなスクリーンで宮崎作品を見る第1作」なので、楽しみにしているとか。
惜しいな。「もののけ姫」を、大きなスクリーンで見ていただきたかった。ダイダラボッチが迫ってくる場面の迫力は、
家庭用のテレビのサイズではとても味わえない。
・日本が誇る技術の粋
それまでの価値観を捨てても、新しい楽しみを得る方が人生にとっては得になる、と野崎先生は述べている。
前言撤回は許されます。食わず嫌いをやめて食い倒れ・・・もとい悔い改めなさい。
そういう大人の人が増えてくれると、アニメ産業はもっと盛んになれるのですが。
そして。このぶんだと、先生のもうひとつの“未知の領域”ホラー映画にハマる日も近い・・・!?
・個人的おすすめ
ワテ個人のお気に入りは、有名どころなら「紅の豚」。宮崎先生の“男のロマン”と、アドリア海の陽気な世界観が好きです。
それと「ジブリがいっぱいSPECIAL ショートショート」DVD(asin:B000AOXE1I)に収録されている「そらいろのたね」。
中川李枝子さん原作の同名の童話が原作のショートストーリーアニメで、日本テレビのスポットCMとして制作されたもの。
スタジオジブリ初の短編アニメ(同じ作者の「ぐりとぐら」も、カメオ出演している)。
どなたが監督したものかはわからないが、かなり秀逸な出来です。