有野課長、聖夜の奇跡
フジテレビ721「ゲームセンターCX」。今回は昨年12月24日の「クリスマス生放送スペシャル」密着ドキュメントをおくる。
ナレーションを担当するのは、AP東島。彼にとって、そして他のスタッフにとって忘れられない一日となったクリスマスイブの
裏側を密着取材。
(24日)14:00
生放送開始6時間前、セッティングが始まる。この生放送が成功するという保証は無いので、緊迫した雰囲気。
16:00
技術スタッフ打ち合わせ。それぞれの持ち場の最終確認。
17:00
有野課長、フジテレビに到着。喉に痛みがあり、風邪気味である「という感じに、始まる前から軽い言い訳をしておきます」。
今日はなるべく早く帰って、愛娘の枕元にプレゼントを置かなきゃいけない。頑張れ有野サンタ!
18:57
AP東島、2分間の番組告知ということで、生放送直前の現場を生中継。「胸がはちきれそう」な緊張の面持ち。
20:00
「メリークリスマス!」いよいよ生放送スペシャルスタート。有野課長の目標は、残り3ステージで“無期延期”となっていた
「カイの冒険」(1988年、旧ナムコ)をクリアし、エンディング画面を出すこと。3時間の生放送で達成できるか?
21:00
有野課長、ひたすらやられ続ける。ひたすらゲームオーバーを繰り返す。時間だけが過ぎていく。
視聴者からの叱咤激励のFAXが続々届き、廊下にびっしり貼られる。
AP東島、お台場フジテレビ前でカップルを捕まえてインタビュー。カメラマン阿部ちゃんのモツ鍋完成、課長も腹ごしらえ。
・・・それでも。気分転換の甲斐なく、ゲームの方は進展なし。
24:00(25日0:00a.m.)
イブの夜が終わりを告げ、スタッフの皆さんにも焦りの色が見える。
番組画面の上端には「98階だけで4時間経過」というテロップが表示される。
24:20
スタッフが緊急会議を開く。有野課長もゲームの手を止め、会議に参加。
菅剛史プロデューサーの口から「ギブアップだな」という言葉が出る。「(朝)5時までやってギブアップだったら、
3時までやってギブアップの方が良くない?」。決断は有野課長に委ねられた。
挑戦部屋のホワイトボードに、有野課長が書き込んだ「終了時間」は・・・「29:00」!「よし!やります!」
朝5時までやる―スタッフは腹を括った。
24:34
時間延長は決まったが、もうひとつの選択肢があった。「カイの冒険」を続けるのか、それとも別のソフトにするか。
午前1時の時点でクリアできていない場合、課長本人に意思を確かめることに。
25:00
有野課長と構成作家岐部さん、「ゲームセンターCX・2007年10大ニュース」コーナーに入る。その席で
「一旦休憩して、別のゲームに行った方がええのかなー・・・と思うねんけど。どうしようか。一旦『スペランカー』みたいな
感じになってみる?」と、有野課長が決断。「カイの冒険」を一旦中止し、「スペランカー」(アイレム)挑戦スタート。
が、当の課長本人は「スペランカー」のROMが刺さったファミコンを前にして「まさか、こんなことになるなんて・・・
“乗り”で言うたとは言え」と呆然。「スペランカーも怖いなー」。
元AD浦川も急遽、「スペランカー」を練習。助っ人としてスタンバイ。
その後、ゲームは順調に進む。が、誰もが“違和感”を抱えていた。「98(階)まで行ってる『カイ』の方がいいのかなー」。
視聴者はどっちを見たいのか。スタッフも有野課長も悩んでいる中、1通のFAXが届いた。
「カイやれ!」by川口(19)
あまりにも簡潔に書かれた、視聴者の声(笑)。たった4文字のFAXが、皆の心をひとつにした。
「カイの冒険」挑戦再開。「クリアするところが見たいねんな」!
26:00
クリアのチャンスはあるのだが、なかなかうまく行かない。ここから再び、約1時間40分の膠着状態。
が、現場の空気は熱を帯びていた―有野課長が少しずつ上達していたからである。
27:43
そして。絶好のチャンスがやって来た。98面、中段の“火の玉ゾーン”を、絶妙のしゃがみジャンプで突破、カイちゃんは上段へ。
最後のギザギザを一気に飛び越えるべく、タイミングを計る。「有野さん!時間が無いです!」残りタイムもあとわずか。
ゴールに向けてジャンプ!が、天井に頭をぶつけて落下!ギザギザ床に叩きつけられた。
「あーー!」希望の光が、絶望に変わる。「まいった・・・」有野課長、落胆。
27:59
いよいよ残り1時間。それでも。スタッフを支えたのは「諦めない心」。これまで何度と無く、希望を捨てずに頑張ってきた。
“火の玉ゾーン”をくぐるのは、もうお手の物。上段に飛んで、立ち止まらずそのままゴールまで大ジャーーーンプ!
走り幅跳びの選手のように、きれいに跳ぶカイちゃん。扉が開き、階段を上がっていった。
「やったー!」有野課長、98階をクリア!長かった、本当に長かった戦いに終止符が打たれた。
スタッフがクラッカーを鳴らし、有野課長を祝福する。視聴者からも、お祝いのFAXが続々と届いた。
28:05
けれども。それで終わりではない。残り2フロア、更なる難関が待っている。
未知なる領域に備え、またしてもAD鶴岡が“アレ”を―自作の99面ジオラマを持参して来た。相変わらず仕事が細かいね。
AD鶴岡曰く、この階のルートは長い道のり。「スタート→鍵を取る→ゴールの扉に着く」までのルートを、ジオラマを見ながら解説。
ウイングをゲットして空中浮遊するも、敵キャラや障害物に阻まれて思うように行かず。刻一刻と、終了時間が迫る。
28:35
残り時間が30分を切った。誰もが諦めかけたその時、FAXコーナーに視聴者からの助言が届く。異口同音の攻略法は、ズバリ
「火の玉をくぐって鍵を取れ」!
今まではアイテムを取るため、フロア全体を遠回りするルートをたどっていた。が、スタート地点のすぐ上にある2箇所の
火の玉ゾーンをくぐり抜けられれば、最短距離でゴールできるのだ。
ファンの言葉を信じ、プレイ再開。何度か失敗したが、手ごたえを掴んだ。「行けるやん!」
そして。偶然か実力か(?)、見事火の玉ゾーンを突破!99階もクリア!「やったー!」何日もかかった98階とはエラい違いだ。
有野課長とスタッフを救ったのは、彼らを信じる視聴者の力だった・・・。
そしていよいよ、最終フロアである100階に到達。と、その前に
「居(お)ったの?」元AD浦川が、有野課長の所にやって来た。「見てるだけでいいんで」。
お楽しみいただいた スペシャルステージも
そろそろ お別れの時間がやってまいりました。
女神イシター様のメッセージとともに、100階挑戦スタート!
が!開始早々、ハプニングが。何気なく宝箱を開けたら、中身は忌まわしき「ワープアイテム」だった!コレを取ると
19階まで戻されてしまい、今までの苦労は水の泡。
有野課長、ポーズボタンでゲームを止め、リセットすることを思いつく。「押して!」19階の画面が始まる前にリセットボタン。
どうか消えないでくれ・・・!
タイトル画面が再び表示され、「CONTINUE START」の文字が残っていた。有野課長、冷静な判断でピンチをしのぐ。
28:52
放送終了まで残り数分。上達した有野課長、100階をあっさりクリアした。
「カイの冒険」完全攻略。奇跡は起きた。結局、有野課長にとっては98面が最後にして最大の難所だったってわけか。
そしてエンディング。カイちゃんとギル王子が並び立ち、画面に一礼。ゲームオーバーのメロディに乗せて、二人が歌うように(?)
「ゲ〜ムはナムコ」の文字が。
そういえば「太鼓の達人」の収録曲「ナムコットメドレー」も、最後のフレーズはこの音楽だったな(笑)。
拍手喝采、歓声に包まれる挑戦部屋。有野サンタ、素敵なクリスマスイブをありがとう!
29:20
放送終了後。「お疲れ様でしたー!」スタッフ全員で、打ち上げ兼クリスマスパーティー。
「また来年、よろしくお願いしまーす」という有野課長の言葉には、さすがにスタッフから「えー」という声が(笑)。
改めて、視聴者からのFAXに目を通す課長。先程「カイやれ!」のFAXを送ってきた川口くんに向けて「カイ、やったどー!」と
“よゐこの相方の人”がやってる風の絶叫。
あとはゆっくり寝て下さい。あ、お嬢ちゃんたちにクリスマスプレゼント渡すのも忘れずにね。
エンディング
AP東島ナレーション「初めての生放送・・・有野課長といつものメンバーに加え、ファンの人たちも一緒に夜を明かした9時間。
そして起こった奇跡―僕にとってそれは、一生忘れることのできない最高のクリスマスイブでした。
ま、有野さんならやってくれる、と思ってましたけどね」。
ナレーターにレポーター・・・東島さんは何を目指しているのでしょうか。