明日を見つめて、勇気を出すとき

今週のNHK連続テレビ小説純情きらり」。いろいろ詰まってるので、無駄に長文になってしまいました。
昭和21年(1946年)3月。桜子さん(宮崎あおい)が勤務する小学校に、戦争から復員した教師が
新年度から復帰することになった。桜子さんは代用教員なので、クビを宣告される。
こうなれば、秋山さん(半海一晃)が黙ってはいない。東京に来て一緒にジャズをやろう、と熱心に誘う。
・過去との戦い
それでも。桜子さんはそう簡単には岡崎を離れられなかった−そう、達彦さん(福士誠治)の事だ。
達彦さんは戦死した仲間たちの遺族を訪ね歩き「生きていることが申し訳ない」と涙ぐむ。
下手したら、戦地で自決してたかも知れんな。
桜子さんの勧めで、久々に「cafeマルセイユ」に足を運んだ達彦さん。コーヒーを飲みながらジャズを聴いて
「昔を思い出すよ」。幸せだった日々の感覚を、少しずつ取り戻す。
・匿(かくま)ってけれ〜!
ある日。有森家に、東京に居る筈の冬吾さん(西島秀俊)が転がり込んできた。
笛姉ちゃん(寺島しのぶ)が、画商におだてられるまま絵の注文を次々に受けて、
昼夜休む間もなく冬吾さんに絵を描かせている・・・というのだ。
「俺のことを、放っとけば絵が出てくる印刷機か何かと勘違いしてる」憤慨する冬吾さん。
いい壊れっぷりだな、笛姉ちゃん・・・不遇の時代が長かっただけに、ほめられるとその反動が(笑)。
・今週のターニングポイント(1)
桜子さんが名古屋の進駐軍のクラブで、ピアノを弾いた夜。冬吾さんは「山長」を訪ね、達彦さんと再会する。
「(音楽家を目指そうとする)彼女の重荷になりたくない」と話す達彦さんに、冬吾さんは言う。
「人は誰かの邪魔したり、迷惑をかけねえでは生きて行けねえもんだあよ」確かに。「それにな・・・
あんたはもう、今までに十分に桜ちゃんに迷惑をかけてる。今更『迷惑をかけたくねぇ』なんて言えた義理か」
ぼっちゃんの最大級の迷惑は、勝手に桜子に惚れたことだな(なかなか気付いてもらえんかったが=笑)。
・今週のターニングポイント(2)
そして。「山長」の職人・仙吉さん(塩見三省)から、桜子さんが女将さん(戸田恵子)を看病していた頃の話を聞く。
桜子さんは達彦さんが生還することを信じて、病床の母にピアノを聴かせ続けていた。それを知って
「これからは有森に、何を返せるか考えんといかん」前に向かって進み出す勇気が、達彦さんの中に芽生えた。
そのために、まずできること・・・名古屋のクラブへ駆けつける。
・Home sweet home
会場に達彦さんの姿を見つけた桜子さん、魂のピアノ演奏!
バンドのメンバーより、達彦さんとのアイコンタクトのほうがしっかりしてたぞ(笑)。
桜子さんは舞台の上でマイクを向けられ、アメリカ兵たちに「(自分がそうだったように)皆さんの故郷にも
帰りを待つ人が居ます」とコメント。そして(このドラマの“お涙頂戴”のテーマ)「埴生の宿」を演奏。
・ここで突然、勝手な妄想
達彦さんが出征した頃。「生還する時の場面」を勝手に想像したことがある。
外地(中国大陸ではなく南方の島)の部隊に配属された達彦さんは、戦争終結とともに
現地で出家していた。
そこへ桜子がやって来て、草笛で「埴生の宿」を吹いて聴かせる。「一緒に日本へ帰ろまい」。
−「それ何て“ミャンマーの竪琴”?」
冗談はさておき。
・ベタな展開ではあるが
演奏会は絶賛され、今後もバンドに参加して欲しいと頼まれる桜子さん。
それを見て、足早に帰っていく達彦さん。桜子さんはそれを追いかけた。「そうするよなぁ」。
「東京に行けよ」桜子さんの夢を優先することが、自分に出来る「お返し」だと達彦さんは考えたのだ。
それでも桜子さんは「達彦さんがここに居る限り、私は岡崎に居る」。何が一番大事か考えると、
そうなるのだろう。
・笛姉ちゃん、怒り爆発
演奏会の翌日。達彦さんは有森家を訪ね、桜子さんに「空白の6年間」のことを聞く。
そこで桜子さんは、昨年冬吾さんとの間にあったこと(不倫未遂)について、正直に語・・・ろうとした、その時!
笛姉ちゃんが有森家に乱入!冬吾さん(「山長」にそのまま泊まって、帰ってきた)と喧嘩になってしまった。
さらに冬吾さんをかばった桜子さんに、論争の火の粉が飛んだ。
・死んだ筈だよおぼっちゃん
笛姉ちゃんは、桜子さんの「Tに捧ぐ」の楽譜の件を責める。「あたしにはわかっとる。誰のために書いた曲か」。
嫁の目はごまかせんな、やっぱり。
会話の一部始終は、達彦さんの耳に届いた。説明の手間が省けたな(そういう問題ではないが)。
死んだとばかり思っていた達彦さんに遭遇した時の、笛姉ちゃんのバツ悪そうな表情が秀逸でした(笑)。
・今週の名言
落ち込む笛姉ちゃんに、モモ姉ちゃん(井川遥)は言う。
「夫婦だからって、相手の過去も未来も全部独り占めしようなんて、無理な話だもん。
相手の過去も受け入れられる、喧嘩したりたまにヒビが入ったりしても、一緒に居(お)って何度でもやり直せる。
・・・それが夫婦っちゅうもんじゃないの?」
そういうもんなんですか。あ、それができなかったから、DV夫・河原さんと離婚したわけね。
・凸凹コンビ?
いっそ桜子と結婚すれば良かったのに、と言う笛姉ちゃん。「なんであたしと結婚したの?」と冬吾さんに訊ねる。
冬吾さんは笛姉ちゃんの欠点を散々列挙した上で「おなごは、凸凹(でこぼこ)のあるほうがいいんだ。
とがった所や、足りねえ所のいっぱいあるほうがいいんだ」と言った。
そう。笛姉ちゃんじゃなきゃ、ダメなんだよ。凸凹のある同士、しっくりハマる夫婦だ。
・絆にもいろいろある
オフィシャルサイトの「人物相関図」で、桜子と冬吾の間は「精神的な絆」ということになっていたが・・・
冬吾さんはマロニエ荘時代、桜子ちゃん(と、達彦さん)にとって「頼れるお兄さん」のような存在だったんで
最初は兄と妹のようなものであり、芸術家の“同志”であり、やがて異性として意識するようになった。
「精神的な絆」は強くても(強すぎるからこそ?)、結局冬吾さんは桜子さんに対して本気を出すことは無いだろう。
「凸凹のある」笛姉ちゃんには敵わない(笑)。ファザコン桜子が「片思いだったんだよ」というのは、当たっている。
・「桜子って呼んでいいか」
桜子さんは達彦さんに「一緒に生きて行きたい」と告げた−冬吾さんに(一瞬ではあるが)心変わりしかけた
自分を許してくれるなら、と。
それに対し、達彦さんは「これからは、俺のそばで生きて行って欲しい」と答えた。そんなことぐらいで、
桜子さんへの思いが揺らぐことは無さそうです。
「これから先のお前の人生の、全部の時間を、俺に欲しい」過去を受け入れ、未来を独り占めしようとしてます。
「もう二度と、寂しい思いはさせん。約束する」カッチョいいー。
一度は引き裂かれた恋人たちが、苦労の末ようやく結ばれるシーンというのは、朝ドラ・昼メロのカタルシスであり
終盤における醍醐味ですからね(笑)。
・輝くような花嫁
そして桜子さんは、かつて女将さんが用意してくれた花嫁衣裳に身を包み「山長」に嫁ぐのでした
(「好きな人が出来たら、これを着て嫁に行くように」という手紙が添えられていましたが
結局は息子が生還して嫁に迎えたわけで)。
この地方の結婚式は派手で豪華だと聞きましたが、この時代から既にそうだったようだな。
次週は西園寺先生(長谷川初範)や斉藤先生(劇団ひとり)など、懐かしい顔ぶれが復活するらしいので楽しみ。
・・・って。桜子さんが倒れた!?やっぱり生命の危機か!?それとも変則型の妊娠フラグ?