離れていても、心はそばに

今週のNHK連続テレビ小説「だんだん」。土曜日に留守だったので、レビューはこの日に。
病院での描写に突っ込みどころがあるとかで、医療関係者からボロクソに叩かれているらしい。
・立派に成長
時が一気に流れて、2007年の秋。めぐみちゃん(三倉茉奈)は松江の老人ホーム「ひなげし」に勤務しながら
看護学校に通い、松江第一病院で看護実習を受けていた。同じ病院には研修医の石橋さん(山口翔悟)も居る。
のぞみ@夢花さん(三倉佳奈)は舞を上達させ、都をどりで大役をつとめるまでになった。
・激動の時代はスルー
そんな夢花さんを陰で支える、康太くん(久保山知洋)。彼は一条のお祖父ちゃん(夏八木勲)のもと、
「呉服いち條」で働いている―いつか夢花さんのために着物をデザインしたい、というのが今の夢だ。
潰れかけていた「呉服いち條」は「和装にも洋服にも使えるマント」を開発、これがヒットして持ち直したのだ。
健太郎くん(木咲直人)も宍道湖の水質を研究する仕事に就き、みんなそれぞれの夢に向かって頑張っている。
あれ?サブライド澤田社長(平岳大)は?もう出てこないんですか?それとも東京地検の手が
(以下強制削除)。
・「認知賞」という誤変換を何とかしてよ
めぐみちゃんは看護実習と老人ホームの仕事をかけもち。ハードスケジュールで疲れ果てていた。
そんな中。彼女が担当する認知症の老人・川口さん(笑福亭松之助)が夜中に徘徊し
「きよ子ー!行かんでごせ(行かないでくれ)ー」と、すがりついて来た。
川口さんは若い頃に妻と離婚し、高校生だった娘・きよ子さんと生き別れたのだという。
認知症の患者さんに、否定する態度をとってはいけない。めぐみちゃんはしばらく、娘になり替わることにした。
・歌は芸の肥やし
一方、芸妓として復帰した夢花さんの成長ぶりに、かつての御贔屓さんたちも目を細める。
雅堂の北島社長(田中猛雄)も、見事な舞を披露する夢花さんを「さすがやな」と絶賛。
その夜。夢花さんは真喜子@花雪さん(石田ひかり)に話した―
「歌手は自分に甘かったら、誰にも歌を聴いてもらわれへん。厳しい世界やった」。そして「今は自分のために
舞を舞えばええんや、ということに気がついた」と。
かつて「舞妓姿で歌え」と言われて断ったのは「(祇園の外に居て)祇園の誇りを捨てなかった」からだった。
でも祇園に居て、祇園の誇りを保っている今やったら「芸妓姿でも、どこでも歌を歌えます」。見てみたい(こら)!
・未来ある人々
再び、松江。石井酒造の真弓さん(河合美智子)は念願叶ってご懐妊中で、大きなお腹を抱えている。
高林さん(辻沢響江)は「琥珀苑」を退職して松江に移り、ヘルン先生(曾我廼家八十吉)や
節ちゃん(久保田晃代)と再び暮らしていた。
その節ちゃんも、来年で中学卒業。高校進学について両親とともに考える時期だが・・・何やら悩みがあるらしい。
節ちゃんは田島家を訪ね、めぐみちゃんに自分の希望を打ち明けた。「舞妓さんになりたい」。
夢花さんを見て、舞妓さんの修行や生活が大変なのは知っている。しかしだからこそ、夢花さんのようになりたいというのだ。
両親は反対するだろうから、まだ言えずに居るのだが。
シジミから真珠貝
ある日。「花むら」に、音楽界で人気上昇中のギタリストから予約が来た―
その名は坂下俊(東島悠起)。そう、元シジミジルの俊くんである!
サリーミュージックに残った俊くんは、ギターソロ演奏のCDが売れ行き絶好調。すっかりカッコ良くなってしまった。
中の人・東島くんの本業がモデルであるだけに、それなりの服装するとカッコいいのだ(笑)。
お座敷には康太くんも呼ばれ、夢花さんともどもシジミジルの思い出話に花が咲く。結局シジミジルで一番出世したのは
俊くんだったってわけか・・・。
中国に帰って上海の貿易会社に勤めているイーリンちゃん(チェン・チュー)とはその後、遠距離恋愛状態らしい。
お互い頑張ろう、という康太くんに、俊くんは「うっす!」と、シジミジルの頃と変わらない笑顔を見せるのだった。
・死人が出る前に何とかしろ
看護実習を終え、眠い目をこすりながら「ひなげし」の夜勤に就くめぐみちゃん。
その日、担当する川口さんが風邪気味で体調を悪くしていた。薬の副作用で発汗が多くなるので着替えさせて欲しいという
申し送りがあったのだが、半分寝ていためぐみちゃんはその話を聴き逃してしまった!
そして今夜も「きよ子ー!」川口さんの徘徊が始まる。なだめすかして部屋に戻すが、パジャマが汗びっしょりに
なっていることに気付かなかった。
結果、川口さんは体が冷えて病状が悪化。上司の芦田さん(中島ひろ子)に叱責される。
めぐみちゃんは「看護実習が終わるまでは頑張りたい」と言うのだが・・・。
・こんな医者はイヤだ
松江第一病院。研修医の石橋さんもまた、自分の道で悩んでいた。
激痛を訴える患者・筒井さん(稲健二)を診察するが、手元のテキストを見る限りは原因がわからない。
結局、医局長の中山先生(宅間伸)の診察で帯状疱疹が原因であることが判明。
主治医としての信頼をすっかり失い、石橋さんは落ち込んでしまう。
・狙っても無駄
「患者のベッドサイドに行くのが怖い」と悩む石橋さんのもとに、またも後藤先生(伊武雅刀)が現れた。
「君は患者を診たいのか、病気を診たいのか」と問われ、言葉を失う。
ちなみに。かつて山口翔悟さんが出演した昼メロドラマ「麗わしき鬼」(東海テレビ/フジテレビ系)なんかでは
山口さんが演じた医師は「不妊治療外来の産科医」だったから「病気を診る医者」という感じだったな。
ところで。こんだけ石橋さんとめぐみちゃんがイチャイチャしてたら「あの二人は付き合っている」というのが
病院内でも暗黙の秘密になってそうだな(笑)。
・無謀松の一生
京都では、のぞみちゃんと康太くんもすっかりいい感じになっている。
康太くんはのぞみちゃんに「オレは『無法松』だが」と言う。のぞみちゃんを人力車に乗せて牽(ひ)き続ける
松五郎になるというのだ。「夢花さんを見守るのが、オレの人生だが」。
芸妓であるのぞみちゃんと、結婚はできなくてもいい。それでも支え続けたい。
・高林姓は変わらず
節ちゃんの「舞妓になりたい」という進路に、ヘルン夫妻はやっぱり猛反対。言い争いになっている最中、
真弓さんが産気づいた!!
高林さんと節ちゃんも付き添って、真弓さんは松江第一病院に即入院。めぐみちゃんも看護実習生としてお産を手伝う。
そして男の子が無事誕生(個人的には双子が生まれると思ったが、予想が外れた)。
感動の瞬間に、節ちゃんは「私を産んでくれて、だんだん」と母・高林さんに言うのだった。
「石井酒造の八代目」たる男の子に、父となった七代目(阿南憲治)は「真宗(まさむね)」と名付けた―
お酒の名前なら「正宗」だが、真弓さんから一字もらったのだ。
・今週のツッコミ
で。この出産(の立会い)の場面が、医療関係者の皆さんから総ツッコミを食らっているという―
40代で初産というハイリスク妊婦・真弓さんが分娩室に入り、めぐみちゃんがお産を手伝ったのだが
当時消化器内科に配属されていた看護実習生を、産婦人科の分娩室に入れる筈は無い!というのである。
同じ病院とは言え、配属科が違えば部外者。各地の病院で乳児連れ去り事件があってから、
どこの病院・産院もセキュリティ管理にはピリピリしているという。
もしくは松江第一病院の産婦人科が「よっぽど人手不足だった」か、めぐみちゃんが妊婦の身内なので
そばに付いて励ました方がいい、と判断されたか。テレビドラマのすることなので、現実とは一線を引いた方がいいのかも。
・病気の時はチャンス(何の)
後日。めぐみちゃんは過労がたたり、ついに倒れてしまった。「ひなげし」の仕事を休み、芦田さんにも
「まずは看護師の資格を取ることに専念しなさい」と言われる。
看護実習にも出られなくなり、心配した石橋さんが田島家にやって来た。そのまま部屋で診察し、安静にするよう言い渡す。
めぐみちゃんは「ひなげし」を辞めることを決意。石橋さんも「もっと自分を大切にしろ」と言う。
・きよ子が二人
そして。めぐみちゃんの「ひなげし」勤務最後の日。その日は川口さんの誕生日でもあった。
誕生日パーティーの最中、勤務終了の時間が来た。川口さんのそばを離れようとするめぐみちゃんに
「行かんでごせー!」と叫び、離そうとしない。横に居た同僚介護士・野本さん(井上智栄子)が
「きよ子はあたしだが」と気を引いている隙に、めぐみちゃんは脱出。後ろ髪を引かれる思いで「ひなげし」を去った。
・歌の土曜日
真弓さんが退院し、松本そば店で祝賀会が開かれる。が、本来主役である真宗くんはといえば・・・
初枝おばあちゃん(三林京子)が、可愛い可愛いと離さないらしい。
というわけで、大人だけでドンチャン騒ぎ。山田船長(佐川満男)の歌を誰も聴いていない(笑)。
・青春群像
京舞井上流のお師匠さん(井上八千代)が「花むら」を訪ね「そろそろええ頃でしょう」と、夢花さんに井上流の
名取になることを認めた。免許皆伝である。
これを機に、夢花さんが今までお世話になった人を「花むら」に招き、舞を見てもらうことにした。
真喜子さんは松江の田島家に連絡し、家族を祇園に招待する。
祇園一の芸妓さん”になりつつある夢花さんを見て、康太くんはそれにふさわしい着物職人となるため
もっと精進することを、一条のおじいちゃんに誓うのだった。
めぐみちゃんと石橋さんも、夢花さんが名をいただいたことを知って喜び、祝福する。
しかし自分たちは「悩める介護実習生」と「悩める研修医」。めぐみちゃんは、石橋さんがこれだけ自信をなくしている姿を
初めて見たのだった・・・。
次週「花むら」存亡の危機?節ちゃんは舞妓さんになれるのか?