饅頭こわい、命がこわい

今週のNHK連続テレビ小説ちりとてちん」。時は流れ、1999年7月。世間の人が恐れていた「アレ(=恐怖の大王?)」も
来ることは無く、日本は不景気ながら平和を保っておりました。
・恐怖の大王より怖いもの
若狭@喜代美ちゃん(貫地谷しほり)も今週から「青木喜代美」。入籍から3年、辛い目に遭うことは特になかったようで。
ただし落語の方は、どうもスランプである(それが一番辛い、か)。
「マクラのところではウケるんですけど、本題に入るとお客さんがひいていく」。兄弟子たちに相談するも、具体的な策は見当たらない。
ちなみに。彼女が今回高座でかけた噺「まんじゅうこわい」の再現劇が、全員女性によって演じられていた。
それをみる限り「女やからウケへん」ということは無い、と思うのだが(笑)。特に原沙知絵さんの男装がカッチョいいです。
・運命のいたずらで
一方。草若師匠(渡瀬恒彦)は、小浜市での独演会の帰りに喜代美ちゃんの実家を訪問。母・糸子さん(和久井映見)に、
弟子たちとの出会いからこれまでの思い出を語り始めた。
落語を愛し、完璧を求めるが故に「脆さ」も併せ持つ草々兄さん(青木崇高)。
「弟子になってやってもいいから、落語を教えろ」と言ってきた四草兄さん(加藤虎ノ介)。
一番弟子の草原兄さん(桂吉弥)と妻・緑ねえさん(押元奈緒子)の馴れ初めも語られた。
そして実の息子である小草若兄さん(茂山宗彦)。わが子が「落語家になりたい」と言ってきた日には、妻・志保さん
藤吉久美子)と抱き合って喜んだという。
「そんなバラバラな連中が、よう私のところに集まってきたなと思います」。好きなものも得意なものも、ひとりひとり違う。
・その日暮らし
長々話し込むうちに、お帰りの時間がやってきた。若狭ちゃんのことを話しそびれた師匠は一言
「若狭には・・・まだまだ教えてやりたいことが仰山あるのに」。
糸子さんが席を外した時、草若師匠が胸を押さえて苦しみ出した!縁側のところでうずくまった師匠を糸子さんが気遣うと、
師匠は普通の顔に戻り「その下に、ヒグラシの抜け殻を見つけまして」と言い出した。
セミやヒグラシの命は、地上に出てからすぐ終わってしまう。「もっと生きたい」と啼(な)いているのだろうか・・・。
・「生きるのが、こわいんですか」
そして師匠が大阪に帰ってきた。若狭ちゃんは、その日一日の間に兄弟子たちと話したことを報告する。
翌日。小浜の家に、スペイン暮らしをしていた祖母・小梅師匠(江波杏子)が突然帰ってきた!
糸子さんは小梅ばあちゃんに留守番を頼み、草若師匠宅へ。師匠のことが心配だったのである。
その心配もそこそこに、糸子さんは若狭ちゃんから「女やから(落語で男性を演じても)ウケへん、って言われた」という
悩みを打ち明けられる。それなら、と。若狭ちゃんに男装して落語をやってみたら、と提案する。
・モダン&クラシック
珍妙なメイク(前述の再現劇と同じ?)で男衆に変装し、「まんじゅうこわい」をかける若狭ちゃん。
それを草若師匠に見せたところ、やはり「無理がある」と言われた。
女の身で男性が主人公の噺をやるのが難しい・・・ならば。「創作落語をやれ」と、草若師匠は提案する。
「私は師匠の古典落語を受け継ぎたいのに」若狭ちゃんの心境は複雑であった。「師匠の言葉の意味が、後になってわかる」日が
彼女にもいつか来るのだろうか。