軍国乙女の「いのり」

今週のNHK連続テレビ小説芋たこなんきん」。「町子・女学生編」後編です。
先週〜今週(〜来週半ばまで)は16歳の女優・尾高杏奈ちゃんが主役を張り、
従来の朝ドラの定番だった「十代後半のヒロインを描いたドラマ」の空気が戻って来ました。
「ヒロインがおばさんなのはイヤだ」という理由で「芋たこ」を食わず嫌いした、そこのあなた!
一生後悔しますよ(ニヤリ)。
・13人→5人に
お爺ちゃん(岸部一徳)が亡くなった翌年の、昭和19年(1944年)。息子の後を追うように
“ばあばあ婆ちゃん”こと曾祖母・ウメさん(淡島千景)もこの世を去った。
叔母の昌江姉ちゃん(尾野真千子)はお嫁に行き、叔父の茂兄ちゃん(西川忠志)も独立。
家族の人数が減り、花岡家の食卓が一気に寂しくなってしまった・・・。
・信仰は強制されないのか
町子ちゃん(尾高杏奈)は聖書の詩に影響され、今度はキリスト教思想にのめりこむ
(その前は神社でお百度参りを踏んでいたのに^_^;)。
そして町外れにある「神のこひつじ幼稚園」の礼拝に参加するようになった。
女学校で持ち物検査をされたとき、聖書は取り上げられなかったが・・・
鬼畜米英が信奉する宗教なのに、お咎め無しなんですかね。
・気が早いで
その年の春。町子ちゃんは女学校を繰り上げ卒業、女子専門学校へ進学。
そして夏。お母ちゃん(鈴木杏樹)が突然倒れた−何と妊娠が判明したのだ
(またも「吐き気を伴わない妊娠フラグ」によるもの)。
お父ちゃん(城島茂)は「男の子やったら、花岡写真館の大事な跡取り息子や」と張り切っている。
・写真より食べ物を
お父ちゃんは写真館で「写真教室」を開くことになった。ただし集まった生徒は子供たちばかりなので
お月謝は「お小遣いの範囲で」。相変わらず商売っ気が無い(笑)。
写真教室の生徒はどんどん増えた−ただし!授業の後に出されるホットケーキが目当てである
(案の定、ホットケーキのサービスをやめたら子供たちは来なくなった)。
そりゃそうだ。この時代、みんなお腹空かせてたんだから。
・夢を笑ったりしない
写真教室の生徒は減ってしまったが・・・カンジくん(森田直幸)だけは残っていた。
お父ちゃんは彼に「表現する」才能を見出し、絶賛する。
カンジくんの方も「写真機を通して人間を見る」ことに楽しさを見出し、漠然と
「写真家になりたい」と思うようになる。
「小説家になりたい」という町子ちゃんともども、雲を掴むような夢ではあるが。
・死んで詫びる時代
卒業後も、女学校時代の友達キクちゃん(小原早織)・梅原さん(黒田純子)と一緒に
こひつじ幼稚園の礼拝に参加していた町子ちゃん。
しかしある日、事件が起きた。梅原さんのお父さんが校長をつとめる尋常小学校の奉安殿
天皇・皇后両陛下の御真影教育勅語を安置しておく施設)が、火事で焼失したのだ。
その後、梅原校長は責任を取って自殺。遺された妻と娘は、親類の居る長崎に移り住むこととなった
長崎市内だったらマズいな・・・8月9日に新型のプルトニウム爆弾を落とされる予定やぞ)。
・単純な問題ではない
町子ちゃんはこひつじ幼稚園を訪ね、牧師の竹山先生(金替康博)に梅原さんとお父さんのことを話した。
「どうしてそんなこと(自殺)をなさったのか・・・信じられない」ショックを受ける先生。
「けど。新聞には『見事な最期』と誉めてありました」
「いけません、そんな言葉で!」と先生は言う。「誉めるのもいけないし、けなすのも良くない」
それに対し「何で誉めてはいけないんですか!」と町子ちゃん。「潔い、立派な生き方やと思います!」
誉められたものではありません。キリスト教では自殺は罪ですから。
その日から、彼女は二度とこひつじ幼稚園に行くことは無くなった。そして・・・また元の軍国少女に戻ってしまった。
・鉄瓶ひとつが何になる
昭和20年(1945年)。町子ちゃんは勤労動員に駆り出され、神戸の工場で飛行機の部品を作る仕事をしていた。
ある週末。花岡家に悲しい知らせが届いた−信次兄ちゃん(宮崎将)がフィリピンで戦死したのだ。
金属供出に出す鉄瓶を磨きながら、お母ちゃんは泣いていた。
「こんなもんで飛行機つくって、若いもんにあんな死に方さして・・・!」
夢を絶たれ、人生の喜びを知らずに死んでいった若者の無念は計り知れない。
・新しい家族
後日。カンジくんが花岡家にやって来た。彼もまた勤労動員で山奥の工場に行くことになったので、
写真教室をやめる・・・というのだ。
が!お母ちゃんが産気づき、花岡家は大騒ぎ。カンジくんも挨拶どころではなくなってしまった。
そして男の子が誕生。本当にお父ちゃんが決めたみたいに(笑)。
町子&孝子姉妹の弟は「信夫」と名づけられた−信次兄ちゃんの「信」の字をもらって。
この赤ん坊が長じて、アバレッドこと西興一朗くんになるわけか。
終戦まであと半年
町子ちゃんはカンジくんとの別れ際「戦争が終わったら、また写真教室に来て」と約束をとりつける。
が!戦局はいよいよ厳しくなり、大阪大空襲が街を焼き払う!
次週は終戦編。大阪市内は焦土と化し、お父ちゃんが病に倒れる・・・。
幼少期の町子ちゃん役を演じた山崎奈々ちゃんが、大人の町子さん(藤山直美)の姪っ子役で再登場です。