毒舌御免!緑茶戦争2010

ルビコンの決断」(テレビ東京系)今週は「緑茶戦争」。
緑茶飲料界で21年連続シェアNo.1の座に君臨する、伊藤園お〜いお茶」。その開発秘話と、開発競争で後発のライバルを
退けるまでを再現フィルムで描く。
・1966年創立で
1970年代後半。緑茶茶葉の売れ行きが少しずつ下がっていることを懸念した伊藤園は「缶入り煎茶飲料」の開発に乗り出す。
しかし。煎茶は酸素に触れると変色してしまう性質があり、なかなか「淹れたての緑色」を保てなかった。
やがて製缶メーカーの協力を仰ぎ、酸素を追い出す「窒素ガス充填」により品質を保つことに成功。やっと一歩を踏み出した。
番組では出てこなかったが、この間に伊藤園は「缶入りウーロン茶」を発売している。
この窒素充填缶、開封前に振ると(炭酸飲料ほどではないが)ガスが噴き出すので注意が必要だった(懐)。
・1缶でもセン茶
1985年、伊藤園は産みの苦しみの末に「缶入り煎茶」を発売。
サントリーの烏龍茶」などのように健康飲料としてのウーロン茶は定着したが、まだまだ世間じゃ
「お茶は家でつくるもの」という考え方が主流だった。100円出して買う、というものではなかったわけで。
そこで伊藤園は「弁当屋に置いてもらう」という販路を開拓。
「煎茶」も「まえちゃ」などと読まれてしまい(泣)当時やっていた企業広告で俳優・島田正吾さんが言った
「お〜い、お茶」という台詞をそのまま商品名にしてみたのである。
こうして1989年、我々の知る緑茶飲料「お〜いお茶」が生まれた。
翌年には1.5リットルペットボトル入りタイプも登場。
・京番茶、ときどき緑茶
弁当屋での販売と伊藤園の社員の“街頭プロモーション”(街中や駅で「お〜いお茶」を美味そうに飲んで見せる)が
功を奏し、売上げは急上昇。缶入り緑茶の市場が拡大していった。
ワテが1990年中盤の頃よく飲んでいたのは「サントリーの緑茶」。「♪まる書いて♪茶ぁ書いて♪サントリーの緑茶」という
CMのアレである。
お〜いお茶」など伊藤園商品の自販機は、当時まだ大手に比べて少なかったような気がする。
・あくまで個人的感想
2000年、そんな「お〜いお茶」に強力なライバルが現れた。キリンビバレッジの「生茶」である。
生茶」はキリンビールの酒販店ルートで酒屋やコンビニにガンガン売り込み、棚を占拠。
お〜いお茶」、最初のピンチである。
生茶」が発売された当初、飲んでみたのだが・・・感想は「まずっ!」(キリンビバレッジさん、ゴメンなさい)。
香りこそ良いが、コクがない。グルタミン酸(お茶本来の旨み成分)が余分に添加されているのか、強すぎるような気がした。
正直「なんでこんなのが売れるんだ?」と、疑問でしかなかった。
・渋味好きは渋面だった
2000年当時、緑茶飲料は「渋い味を嫌う」若者層に迎合するように、競って渋み成分を抜いて甘みを強調していた。
そんな中でも「お〜いお茶」は、天然自然の味を変えることなく突き進んでくれたのだ(その決断に拍手)。
ちなみに当時好きだった緑茶飲料は、コカコーラの「茶流彩彩 笹緑茶」と翌年発売の「まろ茶」。
「笹緑茶」好きだったのになー。これも渋みが嫌われたせいか、1年で消滅。
・冬場も安心
・・・とまあ、いろいろ不満だったわけですが。閑話休題
伊藤園は首位転落のピンチを乗り越えるため、新たな秘策を考えていた。
それは「ペットボトル入り『お〜いお茶』の加温販売」、つまりホットのペットボトルである。
今でこそ冬場の定番となったホットペットボトルも、開発には苦労が伴った。
通常、ペットボトルは熱を加えると変形したり、中身が膨張して破裂の恐れもある。
ここでも新しい技術を持つペットボトルメーカーの協力を仰ぎ、加熱可能なペットボトルの開発に成功。
専用のウォーマー(加温棚)を弁当店やコンビニなどの店舗に大量貸出し、10月の発売開始に間に合わせた。
この作戦が成功し、「お〜いお茶」は首位を防衛。
・コンビニに衝撃!竹筒型ボトル
そして“第2次緑茶戦争”が勃発したのは2004年。消費者の「甘味離れ」が進み、「無糖派」に茶系飲料が定着した頃。
サントリー「(茶)伊右衛門」が誕生したのだ。
京都の老舗・福寿園と提携、宣伝広告やサンプリングにも費用を惜し気なくつぎ込んで“本気の攻勢”をかけてきた。
・「甘香」が決め手
これに対し伊藤園は「香りの良さ」を追求し、ついに「お〜いお茶」の味を変える事を決断した。
パッケージにも「おいしさは香り」と記すようになった。
こうして「お〜いお茶」はライバルの追撃をかわし、21年連続でシェアNo.1の座を守っている。
最近は家庭の食卓向けの低価格版ペットボトル緑茶「茶の間」なんてのも出している。
・本業以外の事は・・・
伊藤園さんは「お茶のスペシャリストとして、軸がブレない」。それが「お〜いお茶」の勝因。
ブレない・・・茶飲料に関してだけは、ね(笑)。
−「どういうことですか」
伊藤園さんってねー。お茶関係以外のジャンルに関しては、ゲテ・・・もとい、斬新奇抜な物が多くてね
(伝説の「ナタデココinおしるこ」など)。飲料マニアを毎年喜ばせてくれるんですよ(笑)。
「飲料業界は『千三(せんみ)つ』である」と、スタジオ解説の池上彰さんは言う。1000個の新商品が生まれても、
生き残るのは2つか3つだ・・・と。
カゴメさんも似たような傾向がある。野菜・果実のスペシャリストとしては軸がブレていないのだが、
それ以外の分野の飲料・食品が迷走気味で。
・この味に帰って来る
そして伊藤園は、世界各国で緑茶飲料を展開。「Ito en's Green Tea」はニューヨークでも人気。
紅茶飲料「Tea's Tea」が日本に“逆輸入”上陸した。国内ではタリーズコーヒーと提携している。
ちなみにウチで最近よく買うのは「いぶき」(アサヒ飲料)。
スーパーの安売り対象にされたり「500mlボトル4本お買い上げの方にアンパンマングッズプレゼント」という
景品に釣られたりという理由で(こら)。
でも「味」という点で言えば最強は「お〜いお茶」かな。他の緑茶製品を飲んでも「お〜いお茶」に回帰するのよ。
ちなみに。普通の煎茶の茶葉を買う時も「お〜いお茶」のシリーズを買ってます。